【WCS2019 ウルトラ】初手展開型ゼルネレック
前書き
この構築はShowdown及びWCSレート・PJCS2019予選で私が使用したものとなっております。それぞれの結果として、Showdownで最高2位(レート1700代前半)、WCSレートで最高10位(レート1800代前半)、PJCS2019予選で最高1807(そこから三連敗して最終175X?)となっており、それなりに完成度が高い構築が組めたという自負はありますが、結果には一歩及ばず非常に悔しい思いをしました。PJCS予選終了後は茫然として構築記事を書く意思を失っていたのですが、日本国内の対戦環境を動かすことに何かしらの貢献ができればと思い、この記事を執筆することを決意しました。
構築経緯1.このルールで最も強い伝説のポケモンが誰であるか
このルールにおいて構築の軸とすべき伝説ポケモンが誰であるかを検討したところ、まず単体性能の高さでゼルネアス・メガレックウザ・ウルトラネクロズマの三体が候補に挙がりました。過去のVGC2016ならばゲンシグラードンとゲンシカイオーガも候補に挙がるところですが、このルールにおける両ポケモンは構築の軸を担えるほどの単体性能を有していないと私は判断しました。その理由の一つとして、新しく登場したウルトラネクロズマやメガの仕様変更で素早さ強化を得たメガレックウザにダメージレースで不利を被ることが挙げられます。ウルトラネクロズマの登場とメガレックウザの流行によりゲンシグラードン・ゲンシカイオーガのメインウェポンであった炎技と水技の通りが悪くなった上、逆にウルトラネクロズマとメガレックウザの攻撃はゲンシグラードン・ゲンシカイオーガの二体とその取り巻きに対して非常によく通るため、相性的にも純粋な性能としてもゲンシグラードン・ゲンシカイオーガの二体は格落ちだと感じました。ゼルネアスはタイプ相性で言えばウルトラネクロズマ・メガレックウザの二体に対して有利であるものの、ウルトラネクロズマとメガレックウザの二体はゼルネアスの上を取りつつ高い打点を与えることが可能であるため、性能的に言えばウルトラネクロズマ・メガレックウザの二体と互角だと判断しました。ルナアーラやイベルタルも環境次第では悪くないポケモンであるのですが、種族値的な強さはないため彼らに並ぶポケモンではないと私は思います。そうした経緯を経て、性能上ではゼルネアス・メガレックウザ・ウルトラネクロズマの三体が強いという判断に至りました。
構築経緯2.ゼルネアスの採用に至るまで
まず、よほど噛み合わせが悪くない限りは純粋に性能が高い伝説ポケモン二体を組ませた構築が強いのだろうと思い、ゼルネアス・メガレックウザ・ウルトラネクロズマのうち一体は軸として採用すべきだと判断しました。その考えに基づいて様々な組み合わせを検討した結果、伝説ポケモンのうち一体は強力な全体攻撃が使えるポケモンであるべきだという考えに至りました。これはこのゆびとまれを持つポケモンに対して強力な全体攻撃が使えない場合、多くの場合で後手に回ることになるためです。一般ポケモンの中では強力な全体攻撃ができる部類に入るジャラランガやメガボーマンダでさえもこのネックを解消するには至らず、強力な全体攻撃ができるポケモンが限られていることもあり、それが可能なポケモンの中で最も信頼できる性能を持つゼルネアスの採用を決めました。なお、全体攻撃の威力や命中が不安定なゲンシグラードン・ゲンシカイオーガは役割遂行上採用を見送りました。
構築経緯3.メガレックウザの採用に至るまで
そうした経緯で採用することを決めたゼルネアスと組ませるべきポケモンとして、まず挙がったのが単体性能の高い鉢巻メガレックウザ及びウルトラネクロズマでした。性能的には二体ともに素晴らしいのですが、軍配が上がったのは鉢巻メガレックウザでした。決め手の最も重要な要素は、展開速度の速さでした。ジオコントロールによって本格的に動けるようになるゼルネアスに対して鉢巻メガレックウザは場に出してすぐに高打点を出すことができますが、ウルトラネクロズマはZ技が使用可能になるまでに一ターンを要することもあり、ゼルネアスと組ませた場合に相手に隙を与えやすくなることが問題でした。また、伝説二体とも特殊型なのはバランスが悪く、ガオガエンやゲンシグラードンに対して弱いこともあり、物理型のウルトラネクロズマはいまいち信用できませんでした。バークアウトの一貫性やエスパー技の通りの悪さなどの理由もありますが、様々な要素を多角的に考えた上でメガレックウザの方がゼルネアスの相方として適していると判断しました。
構築経緯4.その取り巻きの採用について
このルールにおける取り巻きの四体は全て伝説ポケモン二体の補佐役であるべきだと考え、その考えに基づいてスムーズにガオガエンとカプ・レヒレの採用が決まりました。補佐役に特化させるためにガオガエンには脱出ボタンを持たせており、相手の威嚇やガリョウテンセイなどで能力ランクが下がったメガレックウザから交代することで、即座に威嚇を入れつつ万全の状態でメガレックウザを再展開させられるようにしています。カプ・レヒレは状態異常の対策やサイコフィールドの対策ができる数少ないポケモンであり、同様の仕事が可能なカプ・コケコよりも耐久・耐性が優秀でした。また、素早さ実数値が最遅ゲンシグラードン・ゲンシカイオーガ-2である83となっており、トリックルーム下で上から熱湯や自然の怒りを入れるストッパーとして運用することも可能となっています。
残りの二体の候補がゼルネレックミラーに強く単体性能も高いツンデツンデ、ゼルネレックで戦うには少し不安定な相手であるテテフに明確な有利が取れるテッカグヤ、トリックルームに対して強く伝説二体の補佐役が担えるモロバレル、ゼルネレックのメタ構築であるオーガナットゲンガーに強いサンダーの四体で長い期間迷いましたが、最終的にはツンデツンデとサンダーの二体を採用しました。今でも諸説ある難題ですが、全員それなりに強いポケモンだと思います。ちなみにゼルネレックに入ることが多い霊獣ランドロスですが明らかに弱いと考えており、始めから候補にすら入っていませんでした。ごめんよ大本。
個別解説
ゼルネアス@パワフルハーブ
特性: フェアリーオーラ
努力値: 228 HP / 140 Def / 12 SpA / 4 SpD / 124 Spe
性格: ひかえめ
- ムーンフォース
- マジカルシャイン
- ジオコントロール
- まもる
何か特筆することがあるポケモンでもありませんが、一応解説すると、相手のカプ・コケコや鋼タイプを前に動きやすくなる耐久ベースの型を採用しています。また、素早さは耐久ゼルネアスの中では高い部類に入るであろうランク+1で最速130族抜きになる134より早い135としており、多少相手のゼルネアスの上を取りやすくしています。余談ですが、このルールのゼルネアスはジオコントロールを積むことよりも目先のドラゴンタイプを殴り倒していく方が重要だと考えています。ジオコントロールを積まれる前提でアドバンテージを取りに来るプレイヤーが多いので、積極的に殴りに行きましょう。
メガレックウザ@こだわりハチマキ
特性: デルタストリーム
努力値: 4 HP / 252 Atk / 252 Spe
性格: ようき
- ガリョウテンセイ
- しんそく
- かみくだく
- たきのぼり
ウツロイドやメガルカリオ、カミツルギなどに抜かれるのは確実に都合が悪いと判断しての陽気です。いじっぱりは相手視点で対策が立てやすいので、私はあまり好きではありません。技はガリョウテンセイと神速が確定として、残り二枠にルナアーラやネクロズマに対して高打点を持てるかみくだくと、ゲンシグラードンやウツロイドに対して立ち回りやすくなるたきのぼりを採用しました。脱出ガエンを採用したことによって後退からの再展開が容易になったため、基本選出として初手からゼルネレックを投げることも多々あり、これが初手展開型ゼルネレックというタイトルの由来になりました。
ガオガエン@だっしゅつボタン
特性: いかく
努力値: 236 HP / 4 Atk / 4 Def / 236 SpD / 28 Spe
性格: しんちょう
- フレアドライブ
- じごくづき
- けたぐり
- ねこだまし
メガレックウザを立てることに特化した脱出ガエンです。デルタストリーム下ならばゲンシカイオーガの根源の波動を耐えて脱出ボタンを発動することもできるため、HD特化に近いメジャーな調整にしています。けたぐりはゼルネレックが苦手なツンデツンデやディアルガに打ちます。じごくづきはDDラリアットと比べたときにBが下がったメガレックウザに入るぶん実用的だからそちらを採用すべきだと言われて採用したのですが、微妙にじごくづきの火力が足りないせいで負けた試合があったので、DDラリアットか、もしくははたきおとすを採用すべきだったと反省しています。とんぼがえりも優秀なのですが、道具で交代できることもあり今回は採用を見送りました。
カプ・レヒレ@ウイのみ
特性: ミストメイカー
努力値: 244 HP / 92 Def / 92 SpA / 76 SpD / 4 Spe
個体値 / 5 Spe
性格:なまいき
- ねっとう
- こごえるかぜ
- しぜんのいかり
- くろいきり
トリルストッパーとしての性能を持つ、最遅ゲンシグラカイ抜かれ。この素早さはこちらがレヒレレックを並べている状態で相手のゲンシグラードンに天候を奪われたとき、脱出ガエンで天候を奪い返しつつ後手から確実にゲンシグラードンを沈めるのにも役立ちます。特攻は熱湯でHに振っただけのゲンシグラードンを落とせるように調整しています。素早さ実数値は努力値余りで調整できるので、いうほど素早さ個体値の厳選は面倒でもないです。
ツンデツンデ@シュカのみ
特性: ビーストブースト
努力値: 244 HP / 108 Atk / 156 SpD
性格: なまいき
- ジャイロボール
- いわなだれ
- トリックルーム
- まもる
ゼルネレックにツンデツンデを入れることがメジャーでなかった頃から入れており、周りからは強い強いとよく言われていたけれど、本当に強かったのかは個人的に疑問だったポケモン。だからといって抜くとあまり勝てなくなったので、おそらく相手視点では強いということだと思います。一時期ワイドガードやサイドチェンジを入れたりもしていましたが、変な負け筋を生みかねないので結局普通のまもるを採用しています。
サンダー@デンキZ
特性: プレッシャー
努力値: 252 SpA / 4 SpD / 252 Spe
性格: おくびょう
- 10まんボルト
- ねっぷう
- おいかぜ
- まもる
当構築のMVPかつ戦犯。オーガレックやメガゲンガー、その取り巻きのナットレイやヌケニンなどに対して強いのが優秀でした。ゲンガーを採用している構築に対しては初手でレックサンダーを並べて出すことが多いです。ゼルネレックの一般枠としては希少な特殊瞬間火力を出せるポケモンなので、なかなか使い勝手は良かったです。ちなみにデルタストリーム下では弱点が一つもなかったりします。彼を戦犯呼ばわりしているのは、この枠にモロバレルを採用した構築共有相手のLacquerさんが私より更に勝ってPJCSでレートを伸ばしているからです。一応補足するとサンダーは優秀なポケモンです。ウツロイドと同じく、これから採用数が増えるポケモンだと思います。
基本選出
対ゼルネレック・グラゼルネ・テテフなど:、から二体
対オーガレック・ゲンガー:、から二体